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小顔
小顔施術におけるリスク事例とその回避策の詳細解説
美容外科領域における小顔術のリスクと安全性確保のポイント
小顔施術は、輪郭形成の中でも患者さんの満足度が高い一方で、重大な合併症リスクも報告されています。本稿では、他院や業界で外部報告されたリスク事例をもとに、術前評価・デザイン、施術選択、術中管理、アフターケアの観点から、リスク回避策を専門的に論じます。
目次
- ・代表的な小顔施術とそれぞれのリスク
- ・輪郭形成術(骨切り、脂肪吸引)の具体的な合併症事例
- ・神経損傷、血管損傷のリスクと最新回避戦略
- ・術前シミュレーションとデザインの重要性
- ・アフターケア・リカバリーにおける注意点
代表的な小顔施術とそれぞれのリスク
小顔を目指す美容外科的アプローチには、エラ骨切り術(下顎角形成術)、頬骨削り、顔面脂肪吸引、バッカルファット除去などが存在します。それぞれの術式には独自のリスクプロファイルがあり、解剖学的知識に基づく適切な術式選択が不可欠です。
- ・エラ骨切り術:下歯槽神経損傷、下顎下動脈損傷、咬筋萎縮による咀嚼障害
- ・頬骨削り:三叉神経第2枝損傷、頬骨弓骨折、頬部陥凹変形
- ・脂肪吸引:顔面神経枝損傷、皮膚壊死、血腫形成
- ・バッカルファット除去:顔面神経損傷、過度なボリュームロスによる老化容貌
輪郭形成術(骨切り、脂肪吸引)の具体的な合併症事例
近年、他院における骨切り術後の一過性または永続性の顔面神経麻痺、下歯槽神経損傷による知覚異常、下顎骨の陥没骨折、過剰骨切りによる顎変形などのリスクが報告されています。脂肪吸引では、過度な吸引による皮膚の凹凸変形、血腫や感染、顔面神経下枝の損傷症例が見受けられます。
これらの合併症は、術前のCT/MRIによる骨・神経・血管走行の精査不足や、術中の剥離層の選択ミス、骨切りラインの設定ミス、吸引範囲・深度の誤認に起因することが多いです。
リスク事例1:下歯槽神経損傷
- ・下顎角骨切り術において、骨切り位置が下歯槽神経管近傍であったため、術後に下口唇・オトガイ部の知覚麻痺を生じた。
- ・回避策:術前CTで神経管位置を正確に把握し、骨切りラインを十分に離す。
リスク事例2:顔面神経下枝損傷
- ・脂肪吸引の際、下顎縁直上での過度な吸引により辺縁下枝を損傷、口角下制不能となった。
- ・回避策:皮下浅層吸引は避け、筋膜上を目安に吸引。吸引範囲と深度を術前に明確化。
神経損傷、血管損傷のリスクと最新回避戦略
顔面の輪郭形成術において、下歯槽神経、顔面神経下枝、顔面動脈・下顎下動脈の損傷は重篤な後遺障害につながります。
最新の回避策としては、以下の点が重要です。
- 1.術前の高解像度画像診断(CT・MRI)による解剖学的バリエーションの把握
- 2.神経監視装置(神経モニタリング)の活用
- 3.骨切り・剥離層の選択時に神経・血管走行を常に意識
- 4.術中、骨切り器具や吸引カニューレの進入角度・深度を都度確認
また、特に顔面動脈の損傷は血腫・皮膚壊死・重篤な出血につながるため、吸引や骨切り部位近傍の血管走行を熟知したうえでの操作が求められます。
術前シミュレーションとデザインの重要性
リスクを最小化するため、患者ごとの骨格・軟部組織のバリエーションを考慮した術前3Dシミュレーションが不可欠です。設計段階で骨切り範囲・吸引部位・除去脂肪量を明確にし、神経や血管の走行を避けるデザインを徹底します。また、過度な変化を求める患者に対しては、長期的な輪郭バランスや加齢変化も考慮し、十分なインフォームドコンセントを行うべきです。
アフターケア・リカバリーにおける注意点
術後合併症を最小限に抑えるためには、早期の神経障害・血腫・感染徴候の発見が重要です。特に、神経損傷症例では早期のステロイド投与や神経再建手術適応の判断、血腫例では迅速なドレナージと圧迫が求められます。また、術後の腫脹・内出血対策として、適切な冷却・圧迫固定、患者指導によるセルフケアも重要です。
小顔術は高い審美的要求に応える一方で、合併症リスクを十分に理解し、術前からアフターケアまで一貫したリスクマネジメントを徹底することが、美容外科医に課された責務と言えます。














